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茅ヶ崎市とゴルフ場がタッグを組んだ地方創生イノベーション  ーー GDO茅ヶ崎ゴルフリンクスで実施した夏休みの親子イベント

虫取り網を片手に松林の木陰を走り回る子供たち。フェアウェイに舞い上がった水ロケット。グリーン上でパッティングする親子の笑顔。よく晴れた夏の午後、GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス(茅ヶ崎GL)で実現した、親子イベントの情景だ。茅ヶ崎GLを運営受託する株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)は2021年夏、茅ヶ崎市と「シティプロモーションに関する連携協定」を締結。最初の具体的なアクションとして、地方創生でイノベーションを狙う同市の取り組みに参画した。

東京一極集中、地方の人口減少は、日本が抱える大きな課題だ。政府が「地方創生」を打ち出したのは2014年。以来、日本全国の地方自治体が様々な視点から「地域の活性化」を図る政策に試行錯誤で取り組み始めている。

2021年7月26日に茅ヶ崎市とGDOが結んだ「シティプロモーションに関する連携協定」は、市外からの来訪者や転入者の誘致推進を目的としており、まさに地方創生の取り組みの中の一つととらえることができる新たな一手だろう。同市がこうした協定を民間企業と結ぶのは今回が初めてだ。早速、茅ヶ崎GLは茅ヶ崎市に暮らす人々の「あそびのある人生」をサポートするべく、茅ヶ崎市と協力し、ゴルフ場を利用した2つの夏休み親子イベントを企画した。

2021年8月4日。午後の茅ヶ崎GLのロビーは、隣接する浜須賀小学校と、徒歩8分ほどに位置する東海岸小学校の3、4年生のはしゃいだ声でにぎわっていた。この日開催したイベントは、「夏休み自由研究 水ロケット制作&いろいろな虫や植物を探してみよう!」と題し、親子30組60人を無料招待。コースで虫や植物を探した後、水ロケットを制作する内容となっていた。

「ここには何度か生物調査に訪れており、中には絶滅危惧種に認定されている珍しい虫もいます。このあたりは都市化しているため、ゴルフ場があることで様々な植物や生物が守られているのが実情です。茅ヶ崎GLの存在は、この地域の自然保護に、大きな役割を果たしていると言えます」。こう話すのは、茅ヶ崎市学芸員の岸一弘さん。子供たちの虫と植物探しを引率してくれ、「自由研究」もある夏休みのイベントをより意義深くしてくれた。

茅ヶ崎市の動植物について右に出る者はない岸さん。子供たちは熱心に話を聞いていた

この日、いちばん目を輝かせていたのは、友達や先生も認める“虫博士”の谷仲開成くん(東海岸小3年)だ。胸には収穫した虫でいっぱいになったカゴがぶら下がっている。「池がある公園が近くにはないから、今日は本当に楽しかった。またゴルフ場に来たい!」。

続く水ロケットの制作で子供たちを指導してくれたのは、水ロケット界の神様として著名な片岡鉄雄さん。普段から宇宙や科学に関する教育活動などを行う「日本宇宙少年団」で各務原(岐阜)分団長として活動している。水ロケットとは、ペットボトルに羽などを装着し、水と圧縮空気を入れて、噴出する水と空気の反作用によって飛行するロケットのこと。原理は本物のロケットと同じだという。子供たちは真剣な表情で指導に聞き入り、世界にひとつだけの、誰よりもかっこよく、誰よりも高く飛び立つはずの自分のロケットを熱心に組み立てていった。

好みのカラーで彩り、ノーズコーンやフィンを取り付けてロケットを作りあげていく
想像以上に高く舞い上がった水ロケット。見守る大人たちからも大きな歓声があがった

続いて、9月5日に開催したのは、「茅ヶ崎の夏休みSUP&親子ゴルフ体験」だ。茅ヶ崎GLに集合し、みんなで徒歩15分ほどの海岸へ移動すると、マリンスポーツのスクールを営む「Hosoii Surf & Sports」の吉田太さんとスタッフのみなさんが、準備万端で出迎えてくれた。「SUP」は、スタンド(S)アップ(U)パドルボード(P)の略称で、専用のボードに乗り、パドルで漕ぎ進むマリンスポーツ。サーフィンよりも簡単に乗れることから年々人気が高まっているそうだ。

まずは浜辺でパドルを使った準備体操。肌寒い陽気だったが、海の中は温かかったそう

海岸でレクチャーを受けたあと、さっそく海の中へ。この日は北風が強く、おそるおそるまたがったボードがどんどん浜を離れていくコンディションだったが、1組に1人以上のインストラクターが帯同する手厚いサポート体制で、心配は無用だった。時間とともにボードの上に立ちあがってパドルを漕ぎ始める参加者が増えてきた。うまく漕げた人も、なかなかうまくいかなかった人も、海上に浮かぶ笑顔からは初めてのSUPを楽しんでいることが窺えた。

強風で沖から浜辺に戻るのはひと苦労。初めて握るパドルで、一生懸命に漕ぐ

シャワーを浴びてランチを終えたら、今度はゴルフ体験。普段は「キッズゴルフ」でインストラクターを務める3人が、コーチとして駆けつけた。参加者やスタッフ全員が身につけているのは、茅ヶ崎市在住の礒谷慎一さん&ゆう子さんご夫婦が立ち上げたゴルフブランド「HonuTurf(ホヌターフ)」のポロシャツとキャップ。ゆう子さんがSUPインストラクターの吉田さんのスクールに通っており、その縁で協賛を申し出てくれた。

みんなが着心地の良さを絶賛。この日の参加賞「HonuTurf」のウェアやキャップ

まずは練習グリーンにて、パター練習。1番ホールのティーイングエリアに移動し、クラブの握り方とアドレスを教わったら、さっそくティーオフ。お父さんといっしょに参加してくれた小学3年生の中里奈々さんが、ドキドキしながら放った第1打は、15ヤード先のラフへと飛んでいった。これが奈々ちゃんのゴルフ人生のスタートだとすれば、忘れられない大きな一打だろう。子供たちは芝生の上を駆け回りながら、何度でもめげずにボールを打つ。お父さん、お母さんのナイスショットに「すごいね!」と、目を輝かせる光景も目立った。プレー時間の都合上、途中のホールをパスする組もあったが、それぞれのペースでひとりも脱落することなく、最終グリーンをホールアウトした。

親は子の成長を感じ、子は親のありがたみを知る。会話をしながら、一緒にホールを進んでいく

ラウンド終了後、「楽しかった!」と笑顔でゴルフ体験を振り返ってくれる子供も多く、見守った茅ヶ崎GLスタッフも頬が緩む。親子3人でラウンドした丸山昇悟くんは「疲れたけどぜったいまた来る。このままもう1回でも行けるよ!」と、すっかりゴルフの楽しさに目覚めた様子。また、小学4年生の千沙子さんと母子で参加してくれた宮田貴子さんは「娘とラウンドするのは不思議な感じ。いつの間にこんなに大きくなったのかと。また一緒に来られたらうれしい」と感慨深そうに話してくれた。

子供の成長は驚くほど早い。ナイスショットに両親から拍手をもらい、先生とハイタッチ

茅ヶ崎GLは、ゴルフ好きなお父さんのためだけにある場所ではない。今回の2つのイベントを通じて、子供から大人まで、すべての人の「あそびのある人生」に貢献できる舞台であることを再認識した。そして、茅ヶ崎市の協力があったからこそ、主催側も参加者も、より意義深い機会となったことも認識できた。こうしたイベントが、地方創生のイノベーションの芽となって育っていくことを信じ、これからもタッグを組んで、ゴルフ場をベースとした様々な取り組みに意欲を見せていきたい。

ホールを重ねるごとにスイングが大きくなり、フィニッシュも決まるようになった

「GDOで働く」ことにご興味のある方はこちら

文・澤井さやか 写真・村上悦子 構成・PLAY YOUR LIFE編集部

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