story 2018.01.31 “雪をつかって町おこし”冬のゴルフが実現した、ひとつの地域創生のカタチ イノベーション スノーゴルフ 美唄市 ゴルフ場の有効活用 あなたの地元の名物は、なんだろうか。栃木県宇都宮市民は餃子を、広島県尾道市民はしまなみ海道を、愛媛県松山市民は道後温泉を、他の自治体出身者にきっと自慢したことがあるだろう。北海道美唄市民が「うちの市はね、雪上ゴルフのメッカなんですよ」なんて、自慢する日が来るかもしれない。スポーツツーリズムの観点から、ますます注目が高まっているウィンターゴルフの取り組みとこれからのゴルフとツーリズムについてレポートする。白銀の世界で、ナイスショット!「メドックマラソン」とは、赤ワインで有名なボルドー・メドック地方で、ぶどうの収穫直前の9月に開催されるフルマラソンである。約8,500人の仮装ランナーが、美しいぶどう畑の中に設定された1周コースを走る。エイドステーションで有名シャトーのワインが供給されるのが人気で、世界中のワイン愛好家が詰めかける。またテレビ番組で目にすることも多い、スペインの「トマト祭り」。バレンシア州ブニョールで8月の最終水曜日に行われる収穫祭で、参加者が熟したトマトを互いにぶつけ合う世界的にもユニークなイベントのひとつだ。この祭りの間だけは、世界中から街の人口の倍以上の人が集まるという。このような「スポーツ」と「文化資源」を組み合わせ、交流人口の拡大や地域経済への波及効果などを目指す取り組みを総称して「スポーツ文化ツーリズム」と呼ぶ。日本でも観光庁が「観光立国戦略」の一環として着目し、2012年4月には産学官の連携組織の日本スポーツツーリズム推進機構が設立された。一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構・原田宗彦会長を招いた勉強会昨今のインバウンド観光需要の高まりなどを受け、スポーツ庁、文化庁及び観光庁は3庁連携で、スポーツ文化ツーリズムの成功事例と今後の有望な事例発掘を目的に、優秀な取り組みを表彰する「スポーツ文化ツーリズムアワード」を発表している。ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)は、今年で3回目の開催となるGOLF5カントリー美唄コースと共同開催の「ウィンターゴルフ」で、スポーツ文化ツーリズムアワード2017チャレンジ部門で入賞を果たした。主な受賞理由としては、「冬の間、雪解けまでクローズせざるを得なかった北海道ゴルフ場での豊富な雪を利用した日本初の取り組みに期待」、「ゴルフ以外にも地域企業、地域住民の協力のもと、地元食材を使うなどの地域活性化が見込める」などが上がった。GDOゴルフアンバサダーもウィンターゴルフを初体験した北海道美唄市の髙橋幹夫市長はこう語る。「美唄市は、北海道でも有数の豪雪地帯です。冬の間は市民の方々が自宅に閉じこもる状況となり、なかなか体を動かす機会がない。市としては、冬のアクティビティが増えることで市民の健康増進への期待を寄せています。またウィンターゴルフに関しては、少しずつ認知が高まっているのかなと思っていますが、もっともっと日本中、世界中に知ってもらって、美唄の冬のまちづくりに生かしていきたいと思っています。雪は、確かに厄介者なんです。でも見方を変えれば、美唄市の味方になってくれると思っています。“雪をつかって町おこし”、今後も邁進していきたいですね」GOLF5カントリー美唄コース支配人 西條氏、北海道美唄市長 髙橋氏、GDO取締役 伊藤(写真右から)もともと、ゴルフは「旅」の要素を多く含むスポーツだ。時間をかけて自然の豊かな地域まで移動し、スポーツを楽しんだあとに周辺観光を楽しみながら帰路につく。そもそもゴルフというスポーツ自体が「スポーツツーリズム」を振興しているともいえる。そこに「あたらしいゴルフの形」を織り込みながら地域活性化に貢献していきたい、それがGDOのいまの想いだ。GOLF5カントリー美唄コースの西條慎一支配人はこう話した。「夏(通常期)のゴルフでのお客様は、スコア向上を目指して一打一打と真剣に向き合い、ミスショットをすると落胆した表情が出るというシーンも多い。しかし、ウィンターゴルフではミスショットで笑顔になるというか、もっと皆さんフランクで、ミスショットすら楽しみに変わっているように見えますね。ウィンターゴルフの魅力は、普通では考えられない環境でゴルフをしている、という体験そのものだと思っています。美唄の自然の魅力を伝えながら、ゴルフの楽しみを感じていただく環境を今後もつくっていきたいですね」ウィンターゴルフを立ち上げ時から強く推進した西條慎一支配人GDOは、日本全国2,000以上のゴルフ場と提携している。ということは、2,000のゴルフ場が存在するすべての都道府県とこのような取り組みが可能である、ともいえる。住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年6月より施行されるなど、インバウンドを含めた観光需要の取り込みには追い風が吹いている。日本には四季があり、山、森、川とさまざまな地形や環境があり、その場所でしか体験できない豊かな楽しみがある。北海道の冬に、プレーの機会が提供された!ゴルフのあたらしいスタイルを開拓すること、“ゴルフ前・後”の体験をも豊かにすること。GDOは、それも「ゴルフで世界をつなぐ」活動の一環だと考えている。ゴルフを起点にさまざまな世界がつながっていくことに向かって、私たちは挑み続ける。当日の様子はこちらから。【動画】 ■イベント開催協力:ゴルフ5カントリー美唄コース (旧アルペンGC美唄)所在地:〒079-0261北海道美唄市字茶志内250-1TEL:0126-65-2889【ゴルフ場詳細】2004年第9回、2006年第11回、2013年第18回、2016年第21回ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント開催コース高低差3Mの平坦なフラットコースです。ピート&ペリー・ダイ設計によるスコティッシュ・アメリカンスタイルのコースです。フェアウェイには 独特なアンジュレーションと7つの湖を巧みに利用したホール、アンジュレーションの大きいグリーンに待ち受けるバンカーなどが配置され、中途半端なショットは許されませんが、いずれも美しくタフなコースとしてプレーヤーの挑戦意欲を刺激することでしょう。LPGA トーナメント「ゴルフ5レディス」を過去4回(2004・2006・2007・2013)開催しているトーナメントコースです。■関連記事:それゆけ! GDOモテゴル研究部「雪上ゴルフコンペで優勝を狙う in 北海道」3年目の開催となる『ゴルフ5カントリー美唄コース』のウィンターゴルフ。 毎年、北海道の美味しいご飯を食べたい一心で、適当に理由をつけて遊びに来ていたモテゴル部だが、今年は一般のお客様に交じってコンペに参加することになってしまった。雪のなかでもHOTで楽しい!「ウィンターゴルフ」の魅力1月下旬に行われた「ウインターゴルフGDO大会」の模様をくわしくレポート。「いつもと違う景色で楽しい!」「案外、普通にゴルフができる!」「全然、寒くない!」など、プレーヤーからも高評価を得た本大会。いずれは冬季五輪の種目になるのも夢でない!?【BRUDER】雪上ゴルフから学ぶ厳寒の冬のコーディネートこれぞ冬ゴルフの真骨頂! 雪上ゴルフから学ぶ厳寒の冬のコーディネート。もはやゴルフの域を超え、新たなウィンタースポーツとして注目を浴びる雪上ゴルフを舞台に、厳寒の冬の防寒コーディネートを紹介する 文:PLAY YOUR LIFE編集部/星 写真:長尾真志 この記事をシェアする 一覧に戻る 関連ストーリー Related Stories 福岡最古のゴルフ練習場 「道場」から「娯楽施設」へ転身中 トップトレーサー・レンジ(TTR) 2024.02.14 【石坂信也のゴルフ未来日記 Vol.9】 場所も国境も超えて「市民化」するサービスを ゴルフ未来日記 2023.08.08 会員権はウイスキー樽 焼酎「宝山」の西酒造が新コンセプトのゴルフ場 イノベーション 2023.07.11 「エンタメ」か「黙練」か? 若きオフコースゴルフの悩み イノベーション 2023.04.26 一覧はこちら