story 2017.10.15 ゴルフ業界の“ファーストペンギン”は誰だ。Russeluno 14STRINGS Vol.2イベントレポート イノベーション ファッション 音楽 「ファーストペンギン」という言葉が近年ベンチャービジネスの世界や政治の世界などで多用されている。「集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を米国では敬意を込めて“ファーストペンギン“と呼ぶ。」という説が主流だが、格式と伝統を重んじるゴルフ場で音楽フェスを開いたこの人たちは「ゴルフ業界の“最初の1羽”」なのだろうか。ゴルフ×ミュージック×アートのクロスオーバーイベント「Russeluno 14Strings Vo.2」の一日をレポートする。ここがゴルフ場だと、誰がわかるだろう大音量のラップミュージックが響く。ストリートファッションに身を包んだ若者。ファッションショーを控えるモデルたち。ここがゴルフ場だと言ったら腰を抜かし、「とんでもない」と思うゴルファーもいるだろう。そんなゴルフ場にとっては「初めて尽くし」の一日を実現してしまったのは、ゴルフウェアブランドRusselunoと三重県にある津カントリー倶楽部だ。ゴルフ×ミュージック×アートのクロスオーバーイベント「Russeluno 14Strings Vol.2」。“ゴルフウェアの概念を180°変える”という当ブランドコンセプトの下、日本初の「ゴルフ場で音楽フェス開催」を実現したのが2014年。今回、3年ぶりの第2回目となる。主催者であるゴルフウェアブランドRusseluno(株式会社Kankou)マネージャー伊藤氏はこう話す。ゴルフ場のフロントスペースでモデルが闊歩「もともとラッセルノは、ゴルフ×音楽×アートをコンセプトにしたブランドです。ゴルフのしきたりを超えて、ゴルフ場に音楽があってもいいのではないか?という発想から、2014年に日本初のゴルフ場でのフェスを開催する運びとなりました。今回は公な気持ちをもって、ゴルフ場に人が集まる環境を作っていきたい。音楽・アートを好む若者たちにも、子供たちにもここでゴルフに触れてもらい、数年後に“あの時楽しかったな”と打ちっぱなしに行くなどゴルフを始めるきっかけになったらいいなと思っています」「ゴルフシーンを180°変える、というコンセプトを実現したい」と伊藤氏「日本初、ゴルフ場で音楽フェス」というチャレンジングな取り組みに賛同し、会場提供を決めた津カントリー俱楽部もまた、さまざまな挑戦に挑んでいるゴルフ場である。今年で23年目となる障害者ゴルフ競技会「ザ・チャレンジドゴルフトーナメント」や、12年目になる海難事故で親を無くした子どもたちのためのチャリティーカップ「Marine Cup 海難遺児チャリティコンペ」などをはじめとした社会貢献活動に積極的に取り組んでいるほか、「ゴルフ場をプレー以外の用途にも開放し、地域との連携を深める」という考えの下、多様な活動を行っている。ゴルフを開かれた場所に」と語る小池氏津カントリー俱楽部の代表取締役社長、小池しおり氏はこう語る。「もともと、うちは“ゴルフ場を開かれた場所に”という想いから、コースやクラブハウスをゴルフをする場所としてばかりではなく、ディナーショーの開催やゴルフをしない人でも利用できるランチバイキング、企業の納涼祭会場として貸し出しなどをしています。そんな中で2014年にラッセルノさんからこのお話を頂き、思い切って本イベントの会場として場をご提供することになりました。」本イベントは、バンドからDJまで様々なミュージックシーンで活躍するアーティストのパフォーマンスをメインとしながら、ライブペインティング、地元特産グルメブース、ゴルフの体験スペースなどを設けている。その一画で、我々GDOは「ゴルフへの第一歩」をサポートするためのゴルフ体験コンテンツを提供。ライブ目的の来場者向けにパターやアプローチチャレンジ、光るLEDボールを使ったナイトゴルフ、キッズ向けスナッグゴルフコーナーなどを展開した。星空の下で、ナイスショット!ライブの合間にゴルフ体験ブースに訪れた人に話を聞くと、ほとんどが「ゴルフはやったことがない、ゴルフ場に来るのははじめて」という未経験者ばかり。ストリートファッションに身を包む10代の若者たち、フェスが好きな両親に連れられてやってきた子供たちが、はじめて握るクラブで大騒ぎするさまは、もはや異様。「既成概念にとらわれるな」「常識をぶち壊せ」―――そんなスポーツブランドの広告のキャッチコピーが語りかけてくるような言葉ですら、既に飛び越えているように見えた。ゴルフに初めて触れた10代の少年たち。そう、こんなに楽しいのだ、ゴルフってファーストペンギン”は、その海の中に「多くの利があるだろう」と予感してリスクを冒して最初に飛び込んでいく。なぜならば、今いる場所にもう餌がないからだ。ゴルフに初めて接した若者はこう言った。「大人になったら、ゴルフぐらいしないといけないッスよね。」思い切ってここに音楽好きの若者たちを招き入れなければ、彼はこの言葉を発することは生涯なかったかもしれない。新たな海の中に、きっと多くの可能性が眠っているのだろう。“最初の1羽”が生み出した新しい価値が連鎖し、次々とゴルフの多様化が進んでいく絵を思い浮かべながら、我々の一日は幕を閉じた。Russeluno 14Strings2014年よりゴルフウェブランドRusseluno(株式会社Kankou)が主催する、ゴルフ×ミュージック×アートのクロスオーバーイベント。辺り一面に広がる緑の芝と、山々に囲まれた開放感溢れるロケーションの中行われる本イベントは、バンドからDJまで様々なミュージックシーンで活躍するアーティスト達のパフォーマンスを体感できるほか、ゴルフ経験者・未経験者・キッズ達に向けゴルフを体験できるブースを設置するなど、音楽好きがゴルフに触れる機会と、ゴルファー達に野外フェスのすばらしさを伝える機会を同時に設けた内容になっている。津カントリー倶楽部三重県津市に位置する、ジャンボ尾崎設計の丘陵コース。広大な敷地の中に余裕をもって造成されており、各ホールが各々独立し特徴的なデザインになっている。かといって奇抜なものではなく、むしろオーソドックスな形だが花道のないグリーン周り、人がすっぽり隠れるリベットバンカー、うねるグリーンなど、上級者には面白い。ペナルティと報酬が背合せの部分が随所にあり戦略性に富んでいる。>>プレー予約はこちらから第23回 ザ・チャレンジゴルフトーナメント厚生労働大臣杯 全国身体障害者ゴルフ大会1995年の第1回大会に始まり、毎年11月3日に津カントリー倶楽部で開催されている、身体に障がいのあるゴルファー向けの競技大会。この「ザ・チャレンジド」とは、障害を持つ人を意味する「ザ・ハンディキャップト」に替わる言い方をされており、障害からの挑戦を跳ね返す「挑戦者」としての意味で使われている。1994年、日本初の片腕のプロゴルファー・山手勝さんが津カントリー倶楽部でプレー中、「私のような身障者ゴルファーにも、こんなきれいなゴルフ場でプレーさせてあげたい・・・」と、つぶやいたことがきっかけとなり始まった。【大会要項】■目的:身体障がい者がゴルフを通じ、体力の維持、増強及び残存能力の向上を図り、明朗、快活かつ 積極的な社会参加と協調、活動意欲を増進し、共生の明るい生活の形成に寄与する。■名称:第23回ザ・チャレンジゴルフトーナメント厚生労働大臣杯 全国身体障害者ゴルフ大会■開催日:平成29年11月2日(木)「交流会」/ 平成29年11月3日(金・祝)18Hストロークプレー■会場:津カントリー倶楽部 三重県津市片田長谷町30番地 TEL:059-253-6605 FAX:059-237-3612 文:PLAY YOUR LIFE編集部/星 写真:長尾真志 この記事をシェアする 一覧に戻る 関連ストーリー Related Stories 福岡最古のゴルフ練習場 「道場」から「娯楽施設」へ転身中 トップトレーサー・レンジ(TTR) 2024.02.14 【石坂信也のゴルフ未来日記 Vol.9】 場所も国境も超えて「市民化」するサービスを ゴルフ未来日記 2023.08.08 会員権はウイスキー樽 焼酎「宝山」の西酒造が新コンセプトのゴルフ場 イノベーション 2023.07.11 「エンタメ」か「黙練」か? 若きオフコースゴルフの悩み イノベーション 2023.04.26 一覧はこちら