秋葉原にオープンした新ショップ「GDO Select」の野心

「AKBのGDO」と言われても、ピンと来る人はまだ少ないだろう。2022年10月13日（木）、ヨドバシAkiba９階（東京都千代田区）に「手に取って体験できるオンラインショップ」がコンセプトの『GDO Select』1号店がオープンした。この新店舗には、より多くの人々に豊かなゴルフライフを楽しんでもらいたいという私たちの願いが込められている。まだ世間には広く知られていないかもしれないが、ちょっと考えてみてほしい。秋葉原からデビューしたあの国民的アイドルグループだって、初回公演の観客はわずか７人だったのだ。

「オンラインだけだと、ものの良さが伝わらなかったり、もっと説明が必要なものがあったりする。そういったことをお客さまに伝えたくて、実際に見て体験してもらう場所が欲しかったんです」と、店舗開発プロデューサーの梅田侑揮は言う。会いに行けるアイドルではないけれど、ここは本物に会いに行けるオンラインショップなのである。その上で「お客さまに良いものを納得して買っていただくことが第一の目的です」と梅田は続けた。

改めて『GDO Select』ではいったい何ができるのか？ まずは来店または電話で依頼すれば、GDOのオンラインショップにある全商品を無料でいくつでも取り寄せて、2日ほどで実際に触れられる。キャディバッグなどの大型商品は、実物を見た後にオンラインで注文して自宅配送が可能だし、アパレルならば試着もできる。中古クラブは取り寄せて試打することも、手持ちクラブの買い取りも行っている。（※新品クラブの取り寄せも可能だが、試打は試打クラブに限られる）

店頭にはスコッティキャメロンの希少性の高いサークルTや限定パター、ジェイドアドラー、エーデザインゴルフ、ラズルダズルといった地クラブの数々、販売店が極めて限られているサタデーズニューヨークシティのゴルフウェアなど厳選された高品質アイテムが並べられている。系列中古ショップのゴルフガレージとは違って新品をメインで扱い、秋葉原駅直結というアクセスの良さも特徴だ。

「ここで何ができるのか、まだうまく伝わっていない」と話す店長の関康生がオススメするのは、シャフト試打である。「背中を押せるわけじゃないですけど、迷いを少しでも解決できれば…」と、店には最新モデルのシャフト数種類と試打用ヘッドが用意され、それらを組み合わせて試打をして、気に入ったらカスタムオーダーできる流れも整っている。専門フィッターがいるわけではないが、試打はもちろん無料である。

オープンから約２カ月を経て、来店客のほとんどがGDOを知っていて、半分以上がGDO会員というのが現場での肌感覚。来店客の10～20％が商品に取り付けたQRコードからオンラインショップを訪れているというデータもある。顧客の生の声を聞けるのもリアル店舗の良いところ。オンラインで足りないものをリアルで補い、リアルで得た情報をオンラインに還元してサービス全体の質を高めていく日々である。

この１号店は『アクティブAkiba』というゴルフ専門店内に間借りしている関係で、（競合を避けるために）テーラーメイドやキャロウェイといった大手ブランドの取り扱いは行っていない。「数年以内に、あと何店舗か出店を目指したい」と意気込む梅田は、それら店舗ではより幅広い商品の取り扱いを視野に入れる。近年、国内市場ではネット販売を制限するアイテムが増えているが、実店舗があれば顧客に届けられる可能性は高まるだろう。

その実現に向け、今は秋葉原でコツコツと芸を磨き、少しずつファンを増やしていっているところ。「この前クラブを見に来たけど、今回は買いに来たよ」と言ってリピートしてくれるユーザーがなによりも励みになる。ゴルフ好きで目の肥えた来店客に負けないように、スタッフたちは日々、正しい商品知識と実際の使用感の勉強を重ねている。

ただ、一つお断りしておかないといけないのは、現時点では中古買取を除けば、店頭でGDOポイントを使うこともできなければ、ポイントを貯めることもできないこと。鋭意対応中であるものの、今しばらくお時間をいただきたい。かといって、それでGDOのことを嫌いになっても、『GDO Select』のことは嫌いにならないでほしいのだ。この店はオンラインとオフラインの垣根を越えてゴルフ好きが集まる大切な接点であり、ゴルフ愛を気兼ねなく表現できる場所なのだから――。

＜了＞