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2024年に日本フットゴルフ協会は設立10周年 “新スポーツ”の現在地

2009年にオランダで産声を上げたフットゴルフは、ゴルフコースに直径約53センチのカップを埋め、サッカーボールを使ってキック(足)だけでプレーするゴルフとサッカーを融合させたスポーツである。“新スポーツ”と言われて久しいが、2014年に設立された日本フットゴルフ協会は来年10周年の節目となる。将来的にオリンピック種目入りも目指すというフットゴルフの現在地を探った。

新スポーツとして発展を続けているフットゴルフ

まずはトップレベルの話から。2023年のトピックスは6月の第4回ワールドカップ(米フロリダ州)で日本の女子団体が初の世界一に輝いたことである。男子団体もベスト8、個人戦では三浦尚子が女子3位、立花友佑が男子17位と健闘したが、何より驚くのはその規模感だ。世界39カ国から971人が出場し、2つのゴルフ場(計54ホール)にフットゴルフの18ホールが5つ作られ、試合は連日インターネットで生中継。賞金が出なくとも世界中から嬉々として集まるフットゴルファーたちの姿に“フットゴルフ愛”を強く感じたのだった。

女子の団体優勝に貢献し、個人戦でも3位に入った三浦尚子
男子団体決勝はサッカーW杯の借りを返し、フランスがアルゼンチンを下して優勝した。

11月には国際フットゴルフ連盟が定める最上位カテゴリのメジャー大会がセブンハンドレッドクラブ(栃木県)で開催された。国内開催は5年ぶり3度目で、11カ国から112人が参戦し、3日間競技で賞金総額250万円(優勝賞金100万円)。同ゴルフ場では大会のために11個のカップを新設したが、その多くがフェアウェイに設置された。先のワールドカップでもそうだったが、コース脇のラフではなく、難度とゲーム性が高まるフェアウェイにカップを切るのが最高峰の国際大会での定番。来日した海外選手たちも全体的なセッティングは高評価したものの、ラフに残されたいくつかのカップを改善すべきだと口をそろえた。

海外選手も来日し、豪華な大会となったジャパンインターナショナルオープン
女子優勝はW杯団体世界一メンバーの阿久津里奈

また、近年はサッカー界からの新規参入も相次いでいる。2019年7月にFC岐阜がJリーグ加盟クラブとして初めてフットゴルフチームを立ち上げた。22年4月にはキャプテン翼の原作者・高橋陽一さんが代表を務める南葛SCが元鹿島アントラーズの青木剛とプロフットゴルファー契約を締結し、翌5月には東京ヴェルディフットゴルフが設立された。元サッカー日本代表やJリーガーは青木のほか、阿部敏之、前田治が国内最高峰のジャパンツアーに参戦中で、加藤順大、礒貝洋光、阿部良則も定期的にフットゴルフをプレーしている。ジャパンツアーは誰でも参戦できるので、憧れの有名選手と一緒に蹴れる可能性があることも新スポーツならではの魅力だろう。

阿部敏之(中央)と前田治(右)
加藤順大(左)と青木剛(右)

各地域での取り組みも活性化してきている。9月30日には、岐阜県関市にあるセントフィールドカントリー倶楽部で株式会社ヒマラヤが主催するフットゴルフコンペが行われた。岐阜市内に本社を構え、ヒマラヤスポーツを全国展開する同社は「世界一のスポーツの伝道者となる」ことを経営ビジョンに掲げており、フットゴルフもその一環。親子で参加したペアの合計スコアを競うコンペで、各組に一人ずつFC岐阜に所属するフットゴルファーが帯同してサポートする。FC岐阜フットゴルフクラブの林幹広代表は、企業から「フットゴルフをやりたい」という問い合わせが増えているという。ゴルフは初心者には敷居が高い部分もあるが、フットゴルフならば女性や子どもでも簡単に楽しめる。自然の中で体を動かし、社員同士、または取引先や関係者と交流するツールとして活用を希望するニーズが高いという。

ヒマラヤスポーツとFC岐阜が共同でフットゴルフイベントを実施した
FC岐阜フットゴルフクラブの林代表

会場となったセントフィールドCCの藤田浩司支配人も、フットゴルフを導入してすぐユーチューバーが撮影に訪れたり、テレビ番組が取材に来たりとメディア露出が増えたと明かす。メンバーたちの理解もあり、クラブハウスのロッカーやお風呂を有料ながらフットゴルファーに提供しており「できる限り普及のお手伝いをしたい」と抱負を語った。

開会式に来場して始球式を行った枚方市の伏見隆市長

大阪府枚方市にある和幸カントリー倶楽部では11月11日、「GPRインビテーショナル」というフットゴルフトーナメントが開催された。練習場に併設された12ホールのショートコースにフットゴルフコースができたのは7月のこと。「もっと枚方に人を呼びたい。フットゴルフは誰でもできるから良いと思った」と、施設を運営する株式会社和幸の大橋綾子代表は言う。参加40人のコンペながら、クラブハウスにはリーダーボードが設置され、ハーフターンでカレー、ホールアウト後には石窯で焼いたピザが選手たちに振る舞われた。まだまだゴルファーやゴルフ場に遠慮しないといけない空気が漂うフットゴルフだが、「選手ファースト」を宣言し、ゴルフ場が全面的にフットゴルファーを応援、歓迎してくれるアットホームさが印象的だった。

先日は鹿嶋市(茨城県)のトライレイクゴルフクラブのフットゴルフコース開場記念にブラジル代表のレジェンド・ジーコ氏が来場してオープニングセレモニーを行ったばかりだし、東京・新中野にはフットゴルフ居酒屋なるものまであったりする。まだ10周年。ここから先、“新スポーツ“がどう市民権を得ていくのか注目したい。

<了>

関連リンク:やってみよう!フットゴルフナビ

写真・文 今岡涼太

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