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収益だけでは語れない GDOとアルペンが「スノーゴルフ」を続ける理由

ゴルフ5カントリー美唄コース(北海道美唄市)に、今年もこの季節がやってきました。2026年2月21日(土)、11回目を迎えた「Snow Golf 2026」は日本で唯一、一面の銀世界が広がる中でゴルフを楽しめる、1日限りのイベントです。かつて、冬場のゴルフ場の雇用創出という切実な願いから始まったこの挑戦は今、大きな変貌を遂げようとしています。

「スノーゴルフ」という苗が、「スノーランド」という森へ

11年前に植えた「スノーゴルフ」という小さな苗は、「スノーランド」という森へ育ちつつあります。スノーゴルフを始めた翌年、ゴルフ5カントリー美唄コースは本格的なスノーアクティビティが楽しめるスノーランド事業にも乗り出しました。当初は、集客に苦しむ厳しい船出でしたが、地道な営業努力と現場スタッフの高いホスピタリティが相まって、ここ数年はインバウンド需要を取り込んで、夏の収益を上回るほどの事業規模へと成長しました。

今年からは「Alpen SNOWLAND BIBAI」として親会社の冠も付き、一ゴルフ場の試みは、地域観光の目玉へと進化を遂げているのです。

稼ぐ力のその先へ 学生と挑む「地域活性化」

「産学連携パイロットプログラム」に参加してくれた北海学園大学と札幌医科大学の学生たち

さらに今年、スノーゴルフは次のステージへと歩みを進めました。それが、冬のゴルフ場を活用した地域活性化をテーマに、若者のアイデアに耳を傾け、実際にサービス化まで並走しようという「産学連携パイロットプログラム」です。

課題の核心は、高い集客力の一方で、経済効果が地元・美唄市内に十分に波及していないこと。スノーランドで東南アジアを中心としたインバウンド客の取り込みには成功したものの、その多くが札幌市内に宿泊し、地元への経済効果は限定的です。せっかく美唄に来てくれたのなら、市内で飲食や買い物、宿泊やナイトライフも楽しんでもらいたい。そして、もっと美唄のこと、周辺の空知地域のことも好きになってもらいたい。そのためにはどうしたらいいのだろう? 

参加したのは、北海学園大学と札幌医科大学の学生たちです。まずは座学でこれまでの取り組みを学びます。その後は実際に外に出て来場しているインバウンド客やスタッフたちにインタビューを行い、ついでにスノーゴルフも体験して、最後にグループに分かれてアイデアを発表しました。

学生たちの発表は真剣そのものです。綺麗な星空をアピールしたら、必然的に宿泊してくれるのではないか。温泉やスキーをセットにしたらどうだろう。スノードームを作り、屋外で映画鑑賞ができるようにするのは? 来場者に地域で使えるクーポンを配ってみよう。すすきのに対抗して、美しい唄が響く「夜の街」としてブランディングするのはどうだろう――。

ゴルフ場を活用した地域活性化について、考えたアイデアを発表する学生たち

これらのアイデアを、アイデアのままで終わらせるのはもったいない。「若い方の意見を、今期中に一つでも実現したいです」と語る小水隆史支配人の言葉通り、私たちは単なるイベント運営を超え、地域の未来を創るパートナーとしての役割を担い始めています。

「恒産なくして、恒心なし」 挑戦を守り抜く意志

正直に言えば、スノーゴルフ単体では今も事業として成り立ちません。横展開は難しいし、スノーランドが成功している今、経済性だけを考えれば、スノーゴルフを続ける必然性はないのかもしれません。それでも私たちが続ける理由は、ゴルフというスポーツの可能性を誰よりも信じているからです。

それは、雪のゴルフ場にとどまりません。夏の炎天下のゴルフ場にも新しい活用方法があるかもしれないし、インバウンド客が冬場の来場者を補ってくれたように、ゴルファー人口の減少にも何らかの解決策があるかもしれない。そんな課題に正面から向き合い、スポーツ産業の未来を創っていく――それが私たちの挑戦なのです。

スノーゴルフを通じて私たちの挑戦は続きます。

「恒産なくして、恒心なし」。 スノーランドという安定した基盤(恒産)があるから、新しい価値を生み出そうとする健全な精神(恒心)も保たれる。スノーゴルフを10年以上積み重ねてきたからこそ、今年は新たな取り組みにステップアップすることもできました。

それでも、私たちの最大の原動力は、毎年スノーゴルフに参加してくれるゴルファーの笑顔かもしれません。1日だけのイベントで、参加者は数十人程度。だけど、現在日本ではこの1日しかスノーゴルフをできる機会はありません。だからこそ、参加者からは「ありがとう」や「最高です」、「ぜひ続けてください!」といった感謝や励ましの声が絶えません。

その期待に応えたい。
そして、これからも新しいゴルフを創っていく。
雪が溶けても、私たちの挑戦が終わることはありません。

<了>

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