story 2025.03.17 「冬しかできない」は禁断の味? スノーゴルフ10周年を振り返る スノーゴルフ 美唄市 多様性 北海道の主要都市、札幌と旭川を結ぶ国道12号線のほぼ中間地点にあるゴルフ5カントリー美唄コースには、冬になると続々とインバウンド客を乗せた観光バスが押し寄せます。そう、冬になると、です。雪に埋もれたゴルフ場を訪れる彼らの目的は、敷地面積125万㎡(東京ドーム26.5個分)を誇る日本最大級のスノーランド。圧雪された雪の上でスノーモービルやスノーラフティング、スノーチューブやスノーサッカーなど数々のアクティビティを楽しめるスノーランドは、東南アジアを中心とした地道な営業活動の成果もあって、いまや冬期平日の売り上げが、ゴルフシーズンの夏期週末を上回る事業規模に達しました。そのにぎわいは、まるで白昼夢を見るかのよう。ゴルフとは無縁の外国人観光客が白銀のゴルフ場にあふれ返っているのです。インバウンド客でにぎわうスノーランド10年前、道内の多くのゴルフ場は冬場のクローズを余儀なくされ、従業員はそのたびに解雇され、春になったら再雇用されることを繰り返していました。そんなゴルフ場をなんとかしたいという思いから、GDOは2016年に日本初のスノーゴルフ(当初はウィンターゴルフ)を企画しました。その企画に真っ先に賛同してくれたのが、ゴルフ5カントリー美唄コースだったのです。想定外だったのは周囲のリアクションです。初回から参加者の列が途切れず、「利雪」「親雪」を掲げていた地元・美唄市も活動を支援してくれました。2度目の実施を終えた2017年、スノーゴルフはスポーツ庁、文化庁、観光庁の三庁連携プロジェクト「スポーツ文化ツーリズムアワード」のチャレンジ部門で入賞を果たすのです。雪上の特設練習場最高の景色なんです!白い雪にVolvikのカラーボールがよく映える!GDOは今年も当地で「スノーゴルフ」を主催しました。ゴルフ場の2ホールを圧雪し、特設カップと人工芝のグリーンを置けば、4ホールのスノーゴルフ専用コースが完成します。樺戸連山の名峰ピンネシリを遥かに望み、純白の樹氷とフェアウェイ、鮮やかな緑のグリーンと赤いピンフラッグのコントラストは写真映えもバッチリです。「そもそも雪の中でできるのか?という疑心暗鬼から入りましたが、やってみるとフェアウェイは変わらず打てるし、意外と普通にできました。景色がいいので気持ちが高まるし、フェアウェイが白いのでカラーボールが見やすいです」と言うのは、関東から初参加した阿野雄紀さんです。「ゴルフをするためだけにわざわざ北海道に来て、雪の中でゴルフをするっていうことが素晴らしいなと思います。やった人にしか分からないかもしれないけど、こういう経験を大事にしたいです」と同組の染谷一徹さんも口をそろえます。参加者は4ホールを2周、その合間には特製の豚汁が振る舞われます。道外から初参加した人たちは、非日常のゴルフ体験に興奮気味です。雪に閉ざされ、冬はほとんどゴルフをしないという道民ゴルファーも、毎年この日を楽しみに待ってくれるようになりました。幸せそうなゴルファーに囲まれて、こちらまでうれしくなります。雪の上とは思えないナイスショット!アプローチは真剣そのものあー、幸せ♡さては、やり手だな2016年にスノーゴルフを始めたゴルフ5カントリー美唄コースは、雪の可能性に目覚め、冬期の収益化を目指しました。コロナ禍で一時は停滞しましたが、コロナ後のインバウンド客の増加によって事業は大きく成長し、従業員の通年雇用を実現し、冬のゴルフ場ビジネスは大きな拡大を果たしました。10年前にこの企画を立ち上げた現GDO茅ヶ崎ゴルフリンクスGMの伊藤修武は「我々の役割は果たしたんじゃないですか」と振り返ります。私たちが目指すのは、ゴルフの多様性を促進し、ゴルフの“楽しい”をもっと提供することです。雪が降り積もったゴルフ場も工夫次第で貴重な遊び場になることが実証されたスノーゴルフは、そんな活動の1つの象徴と言えるでしょう。みんな自然に笑顔なんです来場者からは「またやりたいです!」「また来年来ます!」という声が続々と届いています。一度知ってしまうと、決して忘れることのできない禁断の味。「冬しかできないゴルフ」とは、そんな存在なのかもしれません。<了> 写真・文 PLAY YOUR LIFE編集部 この記事をシェアする 一覧に戻る